自分の手で漕ぐ。
ランカウイ島 マングローブカヤックツアー体験記 ― 大自然をほぼ貸し切りで
- タイプ
- マングローブ・カヤック&ボート(半日アクティビティ)
- 所要
- 約6時間(送迎込み・15:00集合→21:00帰着の例)
- 内容
- リバークルーズ/カヤック/野生動物観察/マレー料理の夕食
- 出発点
- キリム・ジオフォレストパーク(島北東部のジオパーク)/各ホテルへ送迎あり
- 持ち物
- 水着着用で参加(上に普段着)。ウェットスーツ&救命胴衣はレンタル
- 泳力
- 泳げなくてもOK(救命胴衣着用)。最初に漕ぎ方の練習あり
- ベスト
- 全天候型。スコール後の静寂もこのツアーならではの見どころ

ランカウイ島はアクティビティの数こそ多くありませんが、このマングローブのカヤックツアーは、編集部がマレーシア旅行で体験した中でも一番といっていいほど満足度の高いツアーでした。観光客の少ないジオパークから、さらに奥へ奥へ。聞こえるのは森と動物の音だけ。南の島の大自然を、ほぼ貸し切りで全身に浴びる半日です。
このツアーが、向いている人。
楽しむためのポイントは3つ。大自然そのものを浴びたい人、カヤックに抵抗がない人、多少濡れてもむしろ楽しめる人に刺さります。
まず大自然(特に川と森)だけを全身で体感したい人に。観光客の少ないランカウイ島の、さらに奥へ進むので、ツアー中に人を見かけることはほとんどありません。360度見渡す限り自然だけ、いるのは野生動物ばかり、という環境を自分の手で漕いで進む。日本では値が張るうえ人も多くなりがちなこの種の体験を、ここでは貴重な形で味わえます。
次にカヤックに抵抗がない人。本格的なカヤックが初めてでも、最初に練習時間があるのでコツはすぐつかめます。全行程がカヤックではなく、移動の一部はボート、楽しめるポイントを中心にカヤックで巡る構成。体力に自信がなくてもちょっとした運動レベルで、泳げなくても救命胴衣でぷかぷか浮くので不安はありません。
- 参加は水着着用、上に普段着を重ねて来るよう指示されます
- 現地の小屋でウェットスーツをレンタルして水着の上に着用、さらに救命胴衣を重ねる
- カヤックは漕ぎ間違えると転覆もあり得るので濡れてもいい対策が前提
- トイレは小屋で済ませておく。ツアー中の休憩は無いので水分の取りすぎに注意
スコールも、自然のアクティビティ。
マレーシアの天候は読み切れず、晴れていてもスコールが突然来ます。でもこのツアーでは、それすら見どころに変わります。
16:00 ジオパーク出発。だいぶん天気が悪い。若干不安だが、ともあれ出発。
編集部が訪れた日はどんよりとした曇り空で、スコールが2回も3回も降ってきました。ですがツアー側はスコールに慣れたもの。弱いスコールの中でカヤックを漕ぐのもむしろ楽しく、強いスコールの中をボートで突っ走るのは快感ですらありました。多少のアクシデントが、より楽しめる工夫に変わっていきます。
カッパが借りられたので、そこまで濡れずに済んだ。本来は相乗りもあるが、この日は貸し切りだった。
そして最大の収穫は、スコールのあとに動物が一時的にいなくなり、完全な静寂が訪れること。広い水場にぽつんと佇むあの感覚は、楽しいような怖いような不思議なもの。夕日は見られないというデメリットはありますが、降れば降ったで、降らなければ降らないで違う体験ができる——ある意味全天候型で楽しめるのがこのツアーの強みです。
出発から、カヤックまで。
ホテル送迎でジオパークへ。小屋でウェットスーツに着替え、ボートでポイントへ移動してカヤックがスタートします。
16:30まずは練習から、カヤックスタート
ボートでいい感じの場所まで移動してから、いよいよカヤック開始。この時点ですでにスコールが降ったりやんだり。最初はうまく動かせませんが、少しやればすぐにコツがつかめます。ボート選手のように飛ばすのは無理でも、前後移動と停止くらいはおぼつかないながらできるように。操作に慣れたところでスタートです。
それ以前の流れはこう。15:00に宿(ダタイは遠いため早め)まで送迎が来て、明るい現地ドライバーと片言同士でむしろ楽しく会話。15:45にジオパーク着、ここが中心部なので到着時は人が多め。16:00にボートで出発し、16:15にツアー専用の小屋へ。荷物を置き、水着の上にウェットスーツを着込みます。
リバークルーズ ― とにかく、自然。
17:00、いよいよ川へ。人はいない。聞こえるのは動物と森の音だけ。それを人力のカヤックで進んでいく、神秘的な時間。
17:00 リバークルーズ開始。なかなかできない体験。すごく神秘的な気持ちになる。
コタキナバルでは他の観光客の集団とすれ違うこともありましたが、ランカウイ島ではカヤック中にすれ違うことはありませんでした。川を完全貸し切りのような感覚で、本当に気持ちがいい。あとはひたすら川下り。日本人ガイドからいろんな自然の解説を聞けるので分かりやすく、天気はいまひとつでもこの大自然感はたまりません。


人がいない。聞こえるのは動物の音や森の音だけ。その中を人力のカヤックで進んでいく。

水面に近いから、自然が手を伸ばせば触れる
カヤックのいいところは、なんといっても目線の高さが低いこと。様々な自然にとにかく近く、手を伸ばせば触れられ、自分の好きなところへ行ける。こういう場所では、この自由さが楽しくて仕方ありません。あとはひたすら、いろんな自然を間近に眺めながらの川下りです。

鷲 ― ランカウイ島のシンボル
木立の中にいる鷲を、ガイドがさっと見つけてくれます。鷲はランカウイ島のシンボル。素人ではまず気づけないような野生動物を的確に見つけてくれるあたり、さすがの一言。こうした出会いが、貸し切りの静かな川にアクセントを添えてくれます。
天気はあまり良くなかったが、この大自然感はたまらない。
ボート移動、そして静寂の水上へ。
18:30、スコールの気配を読みながらボートで移動。そして18:45、ツアー最後の最も川幅の広い場所で、忘れられない瞬間が訪れます。
18:30 ボート移動。スコールはカヤックでなくボートの上で受けられるよう、プランを柔軟に組み替えてくれた。
移動の途中で一度、かなり強いスコールに見舞われました。そんな時でもボートは全力。カッパ+ウェットスーツなので雨はほとんど気にならず、むしろ雨の中を最高速で駆け抜けるのは快感ですらありました。これはこれで、なかなかできない体験です。
本当にかなり強いスコールだったので、動物が一斉にいなくなっていました。スコールがあがり、川幅の広い場所で、訪れるのは本当にただの静寂。何ひとつ音がしない中で、ボートだけが浮かんでいます。ちょっと怖い。でも、美しい。
なんというか、とても神秘的で、ああランカウイ島に来てよかったなあと、一番思った瞬間でした。確かに夕日は見られませんでしたが、この薄暗い景色と静寂は、スコールが降らないと味わえない景色。この時はむしろ、降ってよかったなと思いました。マレーシア旅行の中でも、この時の記憶は一番といっていいほど鮮烈に残っています。
19:15に小屋へ戻り、水着を脱いで普段着へ。このあとは、のんびりとした田舎のマレー料理の夕食をいただきました。こういう食事もなかなか味わえません。その後、最初の出発地点へ。真っ暗な深夜のボート移動も迫力があります。20:30にジオパークを出発、21:00にザ・ダタイ着。所要約6時間と長丁場ですが、送迎付き・ほぼ貸し切りでこの内容なら十分です(※時刻・所要は編集部訪問時の一例。集合時間や行程は季節・催行会社により変わるため、予約時に最新を確認してください)。
- 観光客がほぼおらず川をほぼ貸し切り
- カヤック+ボートで体力に自信が無くても楽しめる
- 日本人ガイドの自然解説が分かりやすい
- ホテル送迎+夕食込みで手ぶら感覚
- スコール後の静寂はここでしか味わえない
- 所要約6時間と長め(送迎込み)
- 天候次第で夕日は見られないことも
- 日本円換算ではそこそこの価格
- 濡れる前提・水着持参が必須
行ってみての感想
正直に言うと、ランカウイ島は「アクティビティがそれほど多くない島」というイメージで来ました。ところがこのカヤックツアーが、マレーシア旅行で一番面白かったと言い切れるほどの満足度。理由は単純で、とにかく人がいないこと。誰もいない川を、自分の手で漕いで奥へ奥へ進んでいく——日本ではなかなかできない贅沢でした。
天気は悪く、スコールに何度も降られましたが、結果的にはそれが良かった。強いスコールのあとに訪れた、川幅の広い水上の完全な静寂。あの神秘的で少し怖い景色は、晴れていたら出会えなかったものです。夕日は見られませんでしたが、これはこれで、と思える体験でした。
実は内容はだいぶ省略していて、なかなかの大物も伏せています。でもそれは行ってからのお楽しみ。大自然をこれだけ近い距離で、ほぼ貸し切りで味わえるのは、ランカウイ島でしかできない経験。マレーシアへ行くならランカウイ島へ、ランカウイ島へ行くならこのツアーへ、と胸を張っておすすめします。
誰もいない川を、自分の手で。
ランカウイでしか味わえない静寂を、ぜひ♪
ランカウイ島を、もっと。






