シンガポール
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Little India
極彩色の街、
リトルインディア。
取材・写真 編集部街歩き 半日

シンガポール・リトルインディアの歩き方 ― 極彩色のインド人街を歩く

タイプ
街歩き(極彩色の街並み・寺院・市場・買い物/半日)
最寄り
リトルインディア駅(MRT北東線・ダウンタウン線)/市中心からMRTで約15分
見どころ
カラフルなショップハウス/スリ・ヴィーラマカリアマン寺院/テッカ・センター/ムスタファ・センター
名物
バナナリーフ飯・ビリヤニ・ロティ・プラタなどの南インド料理/極彩色のヒンドゥー寺院
予算感
テッカのホーカー飯は1皿5〜10ドル(約600〜1,200円)前後。寺院は基本参拝無料
注意
寺院は靴を脱ぐ・肌の露出を控える/両替はレート確認を/週末夜は混雑/昼は暑い
リトルインディアの見どころ。街並み・寺院・市場&買い物の3軸で楽しめる。
リトルインディアの見どころ。街並み・寺院・市場&買い物の3軸で楽しめる。

シンガポールで最も色彩が濃い街、リトルインディア。カラフルなショップハウスが連なるセランゴーン通り、鮮やかな彫刻が圧巻のヒンドゥー寺院、スパイスや雑貨が並ぶ市場——歩くだけで五感が刺激されます。チャイナタウンとはまたひと味違う、多文化シンガポールの原色がここにあります。
最寄りはMRTリトルインディア駅。市中心部からMRTで15分ほどと近く、駅を出ればもう極彩色の世界。バナナリーフに盛られた南インド料理、24時間営業の巨大ストア、そして毎晩のように祈りが続くヒンドゥー寺院——観光地として整いつつ、インド系の人々が今も日常を生きる街であることが、歩いているとよく伝わってきます。

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極彩色の街並みを歩く。

リトルインディアの第一印象は、その圧倒的な色の多さ。ショップハウスのファサードはピンク・黄・青・緑に塗り分けられ、頭上には祭り用の装飾アーチが道路を彩ります。まずはセランゴーン通りを北へ歩くのが定番ルートです。

セランゴーン通りのショップハウス群

セランゴーン通りのショップハウス群Serangoon Road Shophouses

リトルインディアの目抜き通り、セランゴーン通り沿いに並ぶ色鮮やかなショップハウス群。黄色い装飾をまとったインド食料品店が軒を連ね、香辛料の香りが漂ってきます。1階は商店、2階が住居という植民地時代からのスタイルがそのまま残り、街全体が生きた歴史遺産になっています。区画一帯はシンガポール政府の保存地区(コンサベーション・エリア)に指定され、古い建物を維持しながら街が更新され続けています。

飾り付きのショップハウス通り

飾り付きのショップハウス通りDecorated Street

頭上に飾りオーナメントが吊り下げられ、カラフルな壁画や看板が視界を埋める一角。リトルインディアはディーパバリ(ヒンドゥー教の光の祭り)をはじめ、祭り期間になると通り一帯が電飾と装飾で埋め尽くされます。後述しますが、その時期は孔雀や蓮、オイルランプをかたどった巨大な装飾が並び、日常とは段違いの華やかさに。祭り前後に訪れると、街の本気の彩りを体験できます。

多言語が混在する看板の街

多言語が混在する看板の街Multilingual Signboards

漢字と英語が混在する看板が並ぶ通りは、シンガポールの多民族社会をそのまま体現しています。インド系の商店のすぐ隣に「泰通顺」のような中華系の店が並ぶのは、リトルインディアならではの光景。タミル語・英語・中国語・マレー語が一枚の景色に同居し、四つの言語が日常的に飛び交う街であることが、看板を見上げるだけで分かります。

コロニアル様式のショップハウス街

コロニアル様式のショップハウス街Colonial Shophouses

セランゴーン通りから少し視線を移すと、ぐっと落ち着いたコロニアル様式のショップハウスが並ぶ一角に出会えます。インド系の商店に混じって教会の看板や雑貨店「ALAM MART」のサインも見え、宗教も民族も入り混じるのがこの街の素顔。背後には新しい高層ビルがそびえ、古い街並みと現代のシンガポールが同じフレームに収まります。

ヒンドゥー装飾アーチが続く通りフォトスポット

ヒンドゥー装飾アーチが続く通りFestival Arches

道路の上空をまたぐように架けられた、ヒンドゥー文様の装飾アーチ。特にディーパバリのシーズン(例年10〜11月頃)は電飾が加わり、通り全体がイルミネーションに包まれます。ライトアップはテッカ・センターの前あたりから始まり、セランゴーン通りをずっと北へ続いていくのが定番。昼間でも十分フォトジェニックですが、夜のライトアップは別格の美しさです。

活気ある街の流れ

活気ある街の流れStreet Life

車と人が行き交うリトルインディアの日中風景。大型の装飾アーチが続くこの通りは、地元の人たちの買い物ルートでもあります。観光客向けの整備が進む一方で、インド系住民が実際に暮らす街としての温度感が残っているのが、チャイナタウンとの大きな違い。とくに週末は出稼ぎ労働者や家族連れで通りが埋まり、街の密度が一段上がります。

街路樹とショップハウスの路地

街路樹とショップハウスの路地Shophouses & Trees

大きな街路樹が連なるショップハウス街の一角。観光の中心から一本外れると、こうした静かな通りにも出会えます。漢字の店名と英語の看板が同居し、低層の古い建物が並ぶ風景は、古いシンガポールがそのまま残った貴重な景観。散策の合間に路地へ入ってみると、観光ガイドには載らない街の素顔が見えてきます。

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寺院と信仰の力。

リトルインディア最大の見どころのひとつが、ヒンドゥー教寺院です。中でもスリ・ヴィーラマカリアマン寺院は必訪。色鮮やかなゴープラム(塔門)は、写真では伝わらないスケール感があります。今も毎日のように祈りが捧げられる、現役の聖所です。

スリ・ヴィーラマカリアマン寺院(外観)必訪

スリ・ヴィーラマカリアマン寺院(外観)Sri Veeramakaliamman Temple

リトルインディアを代表するヒンドゥー教寺院(141 Serangoon Road)。カーリー女神を主神として祀り、その起源は1855年に建てられた小さな祠にさかのぼります。現在の寺院は1881年にベンガル系の労働者によって建立されたと伝えられ、1981年には国家記念物に指定されました。正面を飾るゴープラム(塔門)には無数の神々の像が彩色されており、その細密さと色彩の豊かさは圧巻です。参拝無料(内部の撮影可否は表示に従い、靴を脱いで入場)。

ゴープラム(塔門)のクローズアップ

ゴープラム(塔門)のクローズアップGopuram

正面から見上げると、塔いっぱいに彫刻された神像が迫ってきます。ゴープラムはドラヴィダ様式のヒンドゥー寺院に特有の塔門で、シンガポールのヒンドゥー寺院の中でも特に精巧なもののひとつ。塔にはカーリー女神にまつわる神話や移民の歴史を物語る無数の像がびっしり並びます。神像ひとつひとつの表情・持ち物・色に意味があり、じっくり見ると見飽きない壮大なアートです。

寺院の内部入口

寺院の内部入口Temple Interior Entrance

赤い絨毯と重厚な装飾扉が迎える寺院の内部入口。靴を脱いで一歩踏み込むと、外の喧騒がすっと消え、線香と花の香りが満ちる別世界が広がります。礼拝を行う地元の信者の姿も見られ、観光地でありながら現役の聖所であることを実感します。礼拝(プージャ)の時間帯は混み合うので、朝か午後の静かな時間帯がおすすめです。

黄金の旗竿と祭壇

黄金の旗竿と祭壇Dwajastambam & Sanctum

寺院内部に立つ黄金の旗竿(ドワジャスタンバム)と、奥に見える祭壇空間。旗竿はヒンドゥー寺院の重要な構造物で、神の存在を天に向かって示す意味を持ちます。堂内の柱には精緻な彫刻が施され、インドの寺院建築の美学がシンガポールの地でそのまま息づいていることに驚かされます。

もうひとつのヒンドゥー寺院

もうひとつのヒンドゥー寺院Another Hindu Temple

色鮮やかなゴープラムを持つ、リトルインディア周辺のヒンドゥー寺院。スリ・ヴィーラマカリアマン以外にも、エリア内にはヴィシュヌ神を祀るスリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院など、いくつかのヒンドゥー寺院が点在しています。それぞれ異なる主神・様式・規模を持ち、ひとつひとつ見て回るだけで半日が充実します。気になった塔門があれば、入口の表示を確かめて立ち寄ってみてください。

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テッカ・センター、市場とバナナリーフ。

リトルインディアの胃袋がテッカ・センター。1階はウェットマーケット(生鮮市場)とホーカー(屋台食堂街)が同居し、2階以上は布地やスパイスの店がぎっしり。地元の生活感と南インド料理が一度に味わえる、街歩きの拠点です。

テッカ周辺の街並み

テッカ周辺の街並みAround Tekka

テッカ・センターは665 Buffalo Road、セランゴーン通りからすぐの一角にあります。前身は1915年に開かれた市場で、かつては水牛の市場「Kandang Kerbau」と呼ばれた歴史を持ちます。1981年に「Zhujiao Centre」、2000年に現在の「Tekka Centre」へと改称されてきました。低層のショップハウスと街路樹が並ぶこのあたりは、観光と生活が溶け合うリトルインディアらしい風景が広がります。

店内は迷路のような大型ストア活気

店内は迷路のような大型ストアInside the Store

テッカやムスタファ周辺の大型ストアに一歩入ると、天井まで商品が積み上がった迷路のような店内が広がります。「TOILETS」「CASHIERS」の案内表示を頼りに通路を進むと、香辛料・お菓子・日用品が所狭しと並び、地元客で常に賑わっています。市場の食堂で出るバナナリーフ飯やビリヤニ、ロティ・プラタといった南インド料理も、こうした生活の場のすぐ隣で味わえるのがこの街の魅力です。

両替商が並ぶセランゴーン通り

両替商が並ぶセランゴーン通りMoney Changers

「MONEY CHANGER」の看板が軒を連ねるセランゴーン通りの一角。リトルインディアは市内でも両替レートが比較的よいことで知られ、旅行者が立ち寄るスポットになっています。複数店を比べて最良レートを選ぶのが賢い利用法。両替の際はパスポートが必要です。レートは日々変動するので、提示額をその場で確認してから両替しましょう。

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24時間の街、ムスタファ・センター。

リトルインディアのもうひとつの主役が、巨大ストア「ムスタファ・センター」。衣料・食品・電化製品・金・香辛料まで何でも揃い、深夜でも買い物ができる利便性で、在住インド系住民の生活を支えています。お土産探しにも頼れる存在です。

ムスタファ・センター(外観)24時間営業

ムスタファ・センター(外観)Mustafa Centre

インド系大型ショッピングセンター「ムスタファ・センター」(145 Syed Alwi Road)。24時間365日営業の利便性と、何でも揃う品揃えで知られる街の拠点です。コロナ禍では一時的に9:30〜23:30へ短縮していましたが、2024年9月に24時間営業へ復帰しました(最新の営業時間は訪問前に公式で確認を)。外貨両替コーナーも設置され、深夜の両替にも対応。旅行者にとっても使い勝手のよいスポットです。

ムスタファ・センター(全景)

ムスタファ・センター(全景)Mustafa Full View

通り越しに見上げると、その大きさが分かるムスタファ・センターの全景。外観は意外と地味ですが、内部は迷路のような広さで複数のビルがつながっています。香辛料・インドのお菓子・布地・紅茶など、日本では手に入りにくいインド系商品のまとめ買いに最適。価格も比較的手頃で、お土産探しに立ち寄る価値があります。入口で荷物を預ける仕組みのことが多いので、案内に従いましょう。

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フォトスポットと、見逃せない名所。

街歩き派にうれしいのが、フォトジェニックな名所の多さ。極彩色のショップハウスはもちろん、街角の壁画や、リトルインディアの象徴ともいえる「あの家」まで。カメラ片手にゆっくり歩きたいエリアです。

Tan Teng Niah邸(極彩色の邸宅)名所

Tan Teng Niah邸(極彩色の邸宅)House of Tan Teng Niah

リトルインディアでいちばんの写真スポットとして名高いのが、虹色に塗り分けられた邸宅Tan Teng Niah(陳東齡)邸(37 Kerbau Road)。1900年築で、リトルインディアに残る最後の中国系邸宅といわれます。建てたのはセランゴーン通り沿いで砂糖菓子の工場を営んでいた華人実業家。1980年代の修復で現在の極彩色の姿になり、いまや街のアイコン的存在です。外観の撮影が中心で、SNS映えする一枚が狙えます。

壁画とストリートアートの通り

壁画とストリートアートの通りStreet Art

リトルインディアは壁画(ストリートアート)の宝庫でもあります。香辛料を量り売りする昔ながらの商人や、街の暮らしを描いた大きな壁画が、ショップハウスの側面に点在しています。多言語の看板と相まって、どこを切り取っても絵になるのがこの街。地図を片手に壁画を探して歩くだけでも、楽しい街歩きになります。

教会の看板、インド食料品店、そして背後の高層ビル。古い街並みと現代のシンガポールが一枚に収まるのが、リトルインディアらしい景色です。

教会の看板、インド食料品店、そして背後の高層ビル。古い街並みと現代のシンガポールが一枚に収まるのが、リトルインディアらしい景色です。

◎ おすすめポイント
  • 極彩色のショップハウスと壁画で、街全体がフォトスポット
  • 本格的な南インド料理がテッカのホーカーで手頃に味わえる
  • 24時間のムスタファで深夜も買い物・両替ができる
  • MRTリトルインディア駅すぐ・半日でぎゅっと回れる
△ いまいち・注意点
  • 寺院は服装マナーあり(肌の露出を控える・靴を脱ぐ)
  • 週末の夜は大混雑(人出が一気に増える)
  • 昼間は暑い・日陰が少ない通りも(水分補給を)
  • 両替レートは店ごとにまちまち(提示額の確認を)
💡 歩き方のコツ
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リトルインディアの、グルメ。

この街に来たら、やっぱり南インド料理。バナナリーフに盛られたごはんとカレー、スパイスの効いたビリヤニ、薄く焼いたロティ・プラタ——どれも本場の味が手頃に楽しめます。テッカのホーカーと、レースコース通りの食堂が二大拠点です。

バナナリーフ飯とビリヤニ名物

バナナリーフ飯とビリヤニBanana Leaf & Biryani

リトルインディアの定番が、バナナリーフ・ライス。大きなバナナの葉の上にごはんを盛り、数種のカレーや野菜、パパドゥ(豆煎餅)を添える南インドの食べ方で、手で混ぜて食べるのが本式です。スパイスで炊き上げたビリヤニも人気で、テッカ・センター内には長年ビリヤニを出し続けるミシュラン・ビブグルマンの屋台もあると言われます。どれも数ドル〜十数ドルで、本場の味を気軽に試せます。

ロティ・プラタとスパイスの香り

ロティ・プラタとスパイスの香りRoti Prata & Spices

セランゴーン通りとその周辺は、ロティ・プラタ(薄く焼いた南インドのパン)の名所としても知られ、カレーに浸して食べる一皿が早朝から深夜まで楽しめます。通りを歩けば食料品店からスパイスの香りが漂い、量り売りの香辛料やインドのお菓子が並びます。フィッシュヘッドカレー(魚の頭を使った名物カレー)は、近くのレースコース通り沿いの老舗が有名です。

編集部の評価(5段階)
街並み・色彩 ★★★★★ 極彩色のショップハウスと壁画は唯一無二
文化・寺院 ★★★★★ 現役のヒンドゥー寺院が見ごたえ抜群
グルメ ★★★★ バナナリーフ飯・ビリヤニ・プラタが手頃
アクセス ★★★★★ MRT直結・市中心からすぐ
快適さ ★★★★★ 昼の暑さと週末夜の混雑がやや難点

原色が息づく、移民の街

リトルインディアは、19世紀にこの地へ渡ってきた南インド系の人々が暮らしを築いた街として始まりました。もともとセランゴーン通り一帯は牛馬の取引や石灰窯、レンガ工場が集まる場所で、そこに労働者として渡ってきたインド系移民が定着し、寺院や商店を建てていったのが街の原型です。テッカ・センターの前身が「水牛の市場」と呼ばれていたのも、その名残です。

面白いのは、インド系の街でありながら中国系の邸宅や教会、モスクが同じエリアに溶け込んでいること。1900年に建てられた華人実業家の邸宅Tan Teng Niah邸が、いまではリトルインディアの極彩色の象徴になっているのは象徴的です。砂糖菓子の工場主が建てた中国系の家が、インド人街のアイコンとして愛されている——その混じり合いこそ、多文化都市シンガポールらしい話だと思います。

そして何より、ここは今も現役で生きている街です。早朝からバナナリーフ飯を食べる人、寺院に花を供える人、深夜のムスタファで買い物をする人。観光客向けに澄ましていない、生活の匂いの濃さこそがリトルインディアの底力。色と香りと信仰が混ざり合うこの数百メートルに、シンガポールという国の多様さが凝縮されています。

色と香りと信仰が混ざり合う街。
シンガポールの多文化が、ここに凝縮されています。

このあたりで、あわせて。

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