シンガポール
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Arab Street
極彩色の路地へ、
ハジ・レーン。
取材・写真 編集部街歩き 半日

アラブストリート・ハジ・レーンの歩き方 ― 極彩色の路地とスルタン・モスク

タイプ
街歩き(イスラム文化・フォトスポット・お土産・グルメ/半日)
最寄り
ブギス駅(MRT東西線・ダウンタウン線)から徒歩約5分
見どころ
ハジ・レーンの極彩色ショップハウスと壁画/スルタン・モスク/ブッソーラ通り
名物
ウード(沈香)の香水・アター/絨毯・テキスタイル・籐製品/中東料理
予算感
街歩きは無料。香水やランタンは品により幅広く、食事は1人15〜30ドル(約1,800〜3,600円)前後が目安
注意
モスクは肌の露出を控える服装で(羽織りの貸出あり)/礼拝時間は内部見学を控える/店の営業は時期で変動
アラブストリートの見どころ。ハジ・レーン・壁画・スルタン・モスク・グルメの4点セット。
アラブストリートの見どころ。ハジ・レーン・壁画・スルタン・モスク・グルメの4点セット。

シンガポールの中心部から少し北へ。カンポングラムと呼ばれるこの一帯は、イスラム文化が色濃く残る独特の街並みが広がる地区です。19世紀のラッフルズの都市計画でマレー・アラブ人の居住区と定められた歴史を持ち、ここを拠点にメッカ巡礼(ハッジ)へ向かう人々が集まりました。路地を曲がればハジ・レーンの極彩色ショップハウス、壁には大胆なストリートアート、通りには金色のドームをいただくスルタン・モスク、そして空気にはウード(沈香)の甘い香り——チャイナタウンやリトルインディアとはまた違う、多文化シンガポールのもう一つの顔です。
狭いエリアに見どころが詰まっているので、半日あればぐるりと歩けます。最寄りはブギス駅、徒歩約5分。フォトジェニックな路地、歴史あるモスク、香水や絨毯のお買い物、中東料理——色彩と香りと祈りの声が同居する街を、のんびり歩いてみましょう。

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ハジ・レーンの、色彩。

カンポングラムの細い路地「ハジ・レーン」は、パステルや極彩色に塗り分けられた19世紀のショップハウスが連なる、シンガポール屈指のフォトスポット。ブティック、カフェ、バーが軒を連ね、ただ歩くだけで絵になります。シンガポールでも有数の“狭い通り”として知られ、最も細いところでは道幅わずか4mほどしかありません。

シンガポール屈指の細い路地名物

シンガポール屈指の細い路地Haji Lane

ハジ・レーンの真骨頂は、なんといってもこの細い路地そのもの。両側に2〜3階建てのショップハウスがびっしり並び、最も狭いところでは道幅が4mほどしかありません。白や黄に塗られた建物に「Beau」などのブティックの看板が下がり、観光客が思い思いに写真を撮っています。2000年代にアーティストやデザイナーたちが再生させた通りで、今ではカンポングラム散策の中心。人通りが少なく光のやわらかい午前中がとくに撮影向きです。

壁一面の極彩色ストリートアート壁画

壁一面の極彩色ストリートアートMural Corner

ハジ・レーンを歩いてまず目を奪われるのが、建物まるごとを覆う大胆な壁画。人の顔や幾何学模様が鮮烈な色で描かれた角の店は、この路地を象徴する一枚として人気のフォトスポットです。カンポングラムの壁画は20年以上かけて少しずつ描き足されてきたもので、イスラムのタイル文様を思わせる幾何学柄から、自由な人物画やアラビア文字・英字のタイポグラフィまで作風はさまざま。地図を持たずにぶらぶら歩きながら探すのが楽しい一角です。

路地のバー・カフェ街

路地のバー・カフェ街Alley Cafés

壁画に彩られた路地には、テラス席のバーやカフェが点在します。オレンジ色のパラソルとスツールが並ぶ一角は、夕方になると一杯やる人たちで賑わう雰囲気。樽を使ったテーブルや手描きの看板など、店ごとの個性が強く、ウィンドウをのぞきながら歩くだけでも楽しめます。営業時間や店舗の入れ替わりは時期で変わりやすいので、気になる店は事前に確認しておくと安心です。

どこを切り取っても絵になる

どこを切り取っても絵になるStreet Scene

路地の反対側から振り返っても、色とりどりの壁画と店の看板が連続し、シャッターを切る手が止まりません。背後にはシンガポールらしい高層ビルがちらりと顔を出し、古い街並みと現代都市が重なる独特の構図に。カメラ好きにはたまらない一角で、時間帯や角度を変えて何枚でも撮りたくなります。

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ショップハウスと、壁画散策。

ハジ・レーンだけでなく、カンポングラム一帯のショップハウスや壁面には、地区の文化や多様性を映したアートが点在します。野外ギャラリーのように、歩くだけで偶然の出会いがある楽しみ方ができます。

極彩色のショップハウスフォトスポット

極彩色のショップハウスColourful Shophouses

黄・緑・ピンク・青と、建物ごとに塗り分けられたショップハウスが連続する様子はまるで絵本のよう。1階には小さなスパやブティックが入り、建物の美しさを眺めながらのんびり歩けます。光の柔らかい午前中がとくに写真映え。多文化都市シンガポールらしい、明るくにぎやかな街並みです。

ショップハウスと高層ビルの新旧対比

ショップハウスと高層ビルの新旧対比Old meets New

路地を出ると視界が開け、古いショップハウス群の背後にCBDの高層ビルが聳える、シンガポールらしいコントラストが楽しめます。1989年にこの一帯が保全地区に指定されたおかげで、低層のショップハウスが壊されずに残り、人の暮らしの“スケール感”が今も残っています。街の歴史の重なりを感じられる景色で、広角で狙うと一枚絵になります。

ショッピングカートの子供たち壁画

ショッピングカートの子供たちStreet Art

カンポングラム周辺の一角に描かれた大型壁画。ショッピングカートに乗る子供たちとゲームのモチーフが組み合わさった遊び心あるデザインで、通りがかりに思わず立ち止まってしまいます。壁一面を覆うスケールの大きさも見どころで、写真映えする人気スポット。こうした壁画は地区のあちこちにあり、一周すれば複数の作品に出会えます。

大型のモラル壁画

大型のモラル壁画Mural

白い建物壁面いっぱいに描かれた広角の壁画は、街並みと一体になった迫力があります。地区にゆかりのあるアーティストたちが手がけた作品が点在しており、地図を持たずにぶらぶら歩きながら探すのが楽しい。ハジ・レーン周辺を一周すれば、テイストの違う複数の作品に出会えます。

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香水・絨毯・お買い物。

カンポングラムは古くから交易の街。アラブ・ストリート沿いを中心に、ウードの香水(アター)、ペルシャ絨毯やテキスタイル、籐製品、トルコ製ランタンなど、ほかの観光地では出会いにくい品が並びます。眺めて歩くだけでも楽しいエリアです。

ウードの香水とアター香水

ウードの香水とアターArabian Oud / Attar

アラブ・ストリート周辺には、中東産のウード(沈香)オイルやアター(濃縮香油)を扱う香水店が点在します。写真はArabian Oud Eliteと両替商Taqwa Money Changerが並ぶカラフルな街角。店によっては伝統的な手法で自分好みの香りをその場でブレンドしてくれるところもあり、シンガポールでもここならではのお土産になります。隣には両替商もあり、実用的な立ち寄りスポットとしても便利です。

アラブ・ストリートのお店めぐり絨毯・布地

アラブ・ストリートのお店めぐりArab Street Shops

アラブ・ストリートの大通り沿いには、ショップハウスが連続し、奥にCBDの高層ビル群が見えます。ペルシャ絨毯やオリエンタルなテキスタイル、籐の家具、トルコ製のランタンなど、中東・アジア系の専門店が多く、ウィンドウショッピングだけでも楽しい。手織りから機械織りまで品揃えは幅広く、値段も品によりさまざま。気になる店を冷やかしながら、のんびり歩いて回れます。

交差点の新旧コントラスト

交差点の新旧コントラストCrossroads

カンポングラム周辺の交差点では、青く塗られたショップハウスと背後の高層ビル群が鮮やかなコントラストを描きます。どこを切り取っても絵になるこの地区は、カメラ好きにとっても外せないスポット。夕暮れ時は光が柔らかくなり、より美しい景色が楽しめます。買い物の合間に、ふと足を止めて街並みを眺めたくなる一角です。

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カンポングラムのシンボル、スルタン・モスク。

この街の中心に立つのが、金色のドームが目を引くスルタン・モスク。シンガポールを代表するモスクのひとつで、ナショナル・モニュメントにも指定された歴史的建造物です。手前のブッソーラ通りからの眺めはこの地区いちばんのフォトスポット。

金色のドームがそびえるランドマーク

金色のドームがそびえるSultan Mosque

カンポングラムのシンボル、スルタン・モスク(マスジッド・スルタン)は、金色の玉ねぎ型ドームとミナレットが周囲の街並みに映える歴史的建造物。高層ビル群を背景にそびえる姿は、新旧シンガポールを象徴する景観です。ドームの基部には、貧しいムスリムが寄進したガラス瓶の底が装飾として埋め込まれていると伝わります。非イスラム教徒も外観の見学は自由にでき、決められた時間帯には内部の見学(ホール手前まで)も受け入れています。

正面から見る建築美

正面から見る建築美Masjid Sultan

正面から広角で見るスルタン・モスクは、金のドームとアーチが整然と並ぶ圧巻の建築美。起源は1824年(スルタン・フセイン・シャーのために、ラッフルズの資金援助を得て建てられた初代は1826年完成)。現在の建物はインド・サラセン様式で1924〜1928年に再建され、1932年に完工しました。1975年にナショナル・モニュメントに指定されています。礼拝の時間帯は内部見学を控えるのがマナー。肌の露出を控えた服装で(羽織りものの貸出があります)。

街並みに浮かぶ金のドーム

街並みに浮かぶ金のドームArab St. Streetscape

大通りからは、ショップハウスとCBDの高層ビル群のあいだに、スルタン・モスクの金色のドームがひょっこり顔を出します。古い街並み・現代の高層ビル・歴史あるモスクが一枚に収まる、この地区ならではの構図。再開発が進むシンガポールにあって、こうした重層的な風景が残っているのがカンポングラムの魅力です。

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ブッソーラ通りと、グルメ。

スルタン・モスクへ真っ直ぐ伸びる歩行者専用のブッソーラ通りは、この地区で最も写真に撮られる回廊。通り沿いには中東料理のレストランやカフェが並び、散策のあいだに食事や一服が楽しめます。

The Tiramisu Hero(撮影当時)2022年撮影

The Tiramisu Hero(撮影当時)Haji Lane Café

ハジ・レーン沿いのカラフルなショップハウスに構えていた人気カフェ。テラス席と色とりどりの傘がフォトジェニックで、ティラミス専門というユニークなスタイルが話題でした。ただし、このハジ・レーンの実店舗は2023年に閉店し、現在はオンライン/予約販売が中心とされます(本記事の写真は2022年撮影の当時の外観)。入れ替わりの早いこの界隈らしいエピソードで、訪問前には最新の営業状況を確認するのがおすすめです。

ブッソーラ通りと中東料理グルメ

ブッソーラ通りと中東料理Bussorah Street

スルタン・モスクの正面から伸びるブッソーラ・ストリートは、歩行者専用のフォトジェニックな通り。1840〜1900年築のショップハウスが並び、モロッコ・レバノン・ペルシャ・トルコなどの中東料理レストランや、絨毯店・香水店・ランタンの店が軒を連ねます。テラス席で行き交う人を眺めながらの食事はこの地区ならでは。ラマダン期には周辺一帯にシンガポール最大級のバザールが立ち、夕暮れから夜にかけて大いに賑わいます。

夜のアラブ街へ

夜のアラブ街へEvening Stroll

日が傾くと、ショップハウスや路地のバーに灯りがともり、昼とはまた違うしっとりした表情に。ハジ・レーンのバーやブッソーラ通りのカフェは夕方からが本番という店も多く、夜の散策もおすすめです。スルタン・モスクのライトアップも美しく、涼しくなってから歩くと暑さもやわらいで快適。色彩の街が、夜には少し大人びた顔を見せてくれます。

◎ おすすめポイント
  • 極彩色のショップハウスと壁画がフォトジェニック(ハジ・レーン)
  • 金のドームのスルタン・モスクとブッソーラ通りの眺めが見事
  • ウードの香水・絨毯・籐製品などここならではのお土産
  • ブギス駅から徒歩約5分、半日でぎゅっと回れる
△ いまいち・注意点
  • 人気の路地は昼間は暑い(夕方が歩きやすい)
  • 店の営業・入れ替わりが早い(事前確認がおすすめ)
  • モスクは服装マナーあり(肌の露出を控える・礼拝時間は内部見学を控える)
  • 香水や絨毯は値段に幅があり、相場が分かりにくいことも
💡 歩き方のコツ
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アクセスと、回り方。

見どころが狭いエリアに集まっているので、回り方さえ押さえれば半日で十分。暑さを避けるコツを踏まえた、おすすめの順番をご紹介します。

ブギス駅から歩いて回る

ブギス駅から歩いて回るWalking Route

最寄りはブギス駅(MRT東西線・ダウンタウン線)で、徒歩約5分。ハジ・レーン(壁画・ブティック)→ アラブ・ストリート(香水・絨毯)→ ブッソーラ通り → スルタン・モスクと進むのが王道です。全体が狭いエリアに収まるので、地図がなくても歩いて回れます。暑い時間帯はカフェやモスク周辺の日陰でこまめに休みながら、のんびり巡るのがおすすめ。チャイナタウンやリトルインディアと同じ日にまとめて回る人も多い立地です。

巡礼者が集った、交易と祈りの街

カンポングラムの歴史は、19世紀のシンガポールにさかのぼります。ラッフルズの1822年の都市計画で、この一帯はマレー人とアラブ人の居住区と定められました。やがてアラブやインドネシアの商人・巡礼者が集まり、交易と信仰の中心地として栄えていきます。「ハジ・レーン」の名はハッジ(メッカ巡礼)に由来し、かつてここに巡礼者の宿が並んでいたことを今に伝えています。

街の中心に立つスルタン・モスクは、1824年に起源を持つシンガポール屈指のモスク。現在の壮麗な建物は1920年代に再建されたもので、金色のドームは遠くからでもよく目立ちます。その正面から伸びるブッソーラ通りは、かつてインドネシア人巡礼者がハッジの準備をする中継地でした。通りの名は1910年に、イラクの港町バスラ(当時の表記Bussorah)にちなんで付けられたものです。

面白いのは、こうした歴史ある街区に、2000年代以降のアートやカフェ文化が重なっていること。アーティストやデザイナーが古いショップハウスを再生し、壁には大胆な壁画が描かれ、路地にはブティックやバーが並びました。1989年の保全地区指定で低層の街並みが守られたからこそ、香水や絨毯の老舗と、若い世代のショップやカフェが同じ路地に同居している——その重なりこそが、カンポングラムを歩く一番の醍醐味だと思います。

編集部の評価(5段階)
フォトジェニック ★★★★★ 極彩色の路地と壁画はSNS映え抜群
文化・歴史 ★★★★★ スルタン・モスクと巡礼の街の物語
お買い物 ★★★★ 香水・絨毯・籐製品などここならでは
アクセス ★★★★★ ブギス駅から徒歩約5分・市中心からすぐ
快適さ ★★★★★ 昼間は暑い・店の入れ替わりが早い

色彩と香りと、祈りの声。
シンガポールのもうひとつの顔が、ここにあります。

このあたりで、あわせて。

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