シンガポール / グルメ
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Katong Laksa
ラクサ。
取材・写真 編集部実食レポート

ラクサ ― 適当に選ぶと後悔する、シンガポールの名物麺(328 Katong Laksa)

料理
ラクサ=プラナカン(ニョニャ)由来のスパイシーな汁麺
種類
大きくカレー系(ココナッツ=SG/カトン・KL)とアッサム系(酸味の魚出汁=ペナン)
食べ方
カトンは麺を短く切ってありレンゲ(スプーン)だけで食べる
名店
328 Katong Laksa(イーストコーストロード/カトン)
実績
ミシュランビブグルマン選出歴あり(公式「Behind the Bib」掲載/近年は外れる年も・要確認)
価格
ラクサ $5〜7目安(時期・店舗で変動/要・店頭確認)
教訓
適当に選ぶと後悔。名店を選べば化ける
見どころは3つ。ニョニャの名物麺/スプーンだけで食べる/名店を選べば化ける。
見どころは3つ。ニョニャの名物麺/スプーンだけで食べる/名店を選べば化ける。

正直に告白します。編集部はもともとラクサが苦手でした。でもそれは、“ハズレ”を引いていただけだったのです。名店328 Katong Laksaの一杯で、評価はあっさり覆りました。カヤトーストと並ぶ、れっきとしたシンガポールの顔。選び方さえ間違えなければ、これがまた美味しいのです。

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ラクサって、どんな麺?

まずは正体から。ラクサは、シンガポール・マレーシアのプラナカン(ニョニャ)文化が生んだスパイシーな汁麺。とくに“カトンラクサ”には、ほかにない作法があります。

ニョニャが生んだ、橙色の一杯

ラクサは、中華とマレーの食が混ざり合ったプラナカン(ニョニャ)料理の代表格。なかでもシンガポールのカトンラクサは、ココナッツミルクとエビ出汁の効いた、鮮やかな橙色のスープが特徴です。具はエビ、ハマグリ(コックル)、フィッシュケーキ、そして辛味のサンバル

最大の特徴は食べ方。麺が短く切ってあり、レンゲ(スプーン)だけで食べられるのがカトンスタイルです。「髭の男(Janggut)」が、客が食べやすいように麺を切ったのが始まりと言われます。

かつてイーストコーストロードはカトンラクサの激戦区で、何軒もの名店が「元祖」を競い合いました(いわゆる“ラクサ戦争”)。その代表格として今に残るのが、創業1950年代とされる328 Katong Laksaです。

ℹ ひとくちに“ラクサ”と言っても、実は別物
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実は、苦手でした。

ここで正直な話を。編集部は長らく「ラクサはちょっと…」と思っていました。その原因は、いま思えばはっきりしています。

空港で、適当に選んだ一杯2019

空港で、適当に選んだ一杯The Wrong Pick

これは2019年、空港あたりで何気なく頼んだラクサ。正直、これが「自分はラクサが苦手かも」と思い込んだ原因の一杯でした。適当に選ぶと、後悔します。麺料理は店の差が大きく、観光地や空港でなんとなく選んだ一杯が必ずしもおいしいとは限らない――ラクサはとくに、その振れ幅が大きい料理だと思います。

⚠ ラクサ選びの注意
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まずは、気軽な一杯から。

名店に乗り込む前日。ふらりと寄ったカフェ・チェーン Toast Box にもラクサがあると知り、リベンジの肩慣らしに頼んでみました。

Toast Box のラクサ2022

Toast Box のラクサChain, but Solid

カヤトーストでおなじみのチェーンToast Box。訪れた2022年には、ここでラクサも頼めました(提供メニューは時期・店舗で変わるので要確認)。ココナッツの効いた橙色のスープに、エビ・フィッシュケーキ・もやし・半熟卵。チェーンと侮るなかれ、これが意外としっかり美味しい。「あれ、ラクサってこんな感じだっけ?」と、長年の苦手意識がここで早くもぐらつき始めました。冷房の効いた店内で気軽に座れて味も安定、ラクサ入門にはむしろうってつけです。

ラクサに、泡立つコピ(南洋コーヒー)とケーキを添えたセット。甘いも辛いもカフェ一軒で完結する手軽さ。

ラクサに、泡立つコピ(南洋コーヒー)とケーキを添えたセット。甘いも辛いもカフェ一軒で完結する手軽さ。

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名店で、評価が覆った。

そして翌日、出会ったのがカトンラクサの代表格・328 Katong Laksa。ひと口で「あ、これは別物だ」と。苦手意識は、きれいに消えました。

328 Katong Laksa名店

328 Katong LaksaThe Real Deal

イーストコーストロード(カトン)にある、カトンラクサの代表格。かつてミシュラン・ビブグルマンに選ばれたこともある名店で(近年は外れる年もあり・公式「Behind the Bib」に掲載)、シンガポールに複数店舗を構えます。黒いフードスタンドにテイクアウト窓口、というホーカーらしい構え。2013年、ゴードン・ラムゼイが挑んだホーカー対決を“返り討ち”にした一杯としても知られます。観光客でも訪れやすいのが嬉しいところ。

食べ方は、レンゲだけ

食べ方は、レンゲだけSpoon Only

メニュー板に大きく「叻沙(ラクサ)」の文字。ここで覚えておきたいのが食べ方で、箸は使わずレンゲ(スプーン)だけでいただくのがカトン流。麺が短く切ってあるので、スープと具と麺を一度にすくえます。慣れない作法こそ、旅の楽しみ。郷に入っては郷に従え、です。

328 Katong Laksa。エビとハマグリの橙色スープに、短く切った麺。レンゲで一気に。

328 Katong Laksa。エビとハマグリの橙色スープに、短く切った麺。レンゲで一気に。

苦手が、覆った瞬間

ココナッツのコクとエビの旨み、サンバルの辛み、ハマグリの磯っぽい甘さ。すべてが一杯にまとまって、レンゲですくうたびに「おいしい」が更新されていきます。あの空港の一杯は、いったい何だったのか…。

そう、ラクサが苦手だったのではなく、ハズレを引いていただけ。名店のカトンラクサは、カヤトーストと並ぶ“シンガポールの顔”にふさわしい一杯でした。

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マレーシアのラクサも。

ラクサはシンガポールだけのものではありません。海をまたいだマレーシアでは、土地ごとに“別物のラクサ”に出会えます。実際に屋台をのぞいてきました。

ペナンのアッサムラクサガーニードライブ

ペナンのアッサムラクサPenang Assam Laksa

ペナンの海沿いの屋台街ガーニードライブ。ずらりと並ぶ看板に、大きく「PENANG LAKSA 79」の文字。ペナンのラクサはココナッツではなく、タマリンドの酸味と青魚(サバなど)の出汁が効いたアッサムラクサです。カトンのまったり橙色とはまるで別の料理で、酸っぱくて魚がガツンと香る。同じ“ラクサ”でこの落差。食べ比べると、その土地ごとの個性に驚きます。

ランカウイの屋台ラクサRM5

ランカウイの屋台ラクサNight Market, Langkawi

ランカウイのナイトマーケットでは、ワゴン屋台でラクサが売られていました。バナーには「Laksa/Laksam」、お値段は1袋 5リンギット(約200円)。揚げ鶏と並んで、ビニール袋に具とスープを詰めて持ち帰る庶民のラクサです。ラクサムは太いライスヌードルをくるりと巻いた、これまた別系統の一杯。観光客向けの店だけでなく、こういう屋台の一袋にこそ土地の素顔があります。

💡 マレーシアでラクサを頼むなら
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食わず嫌いは、もったいない。

一度のハズレで諦めるには惜しい。ラクサは、店ごと・土地ごとに評価がまるごと変わる料理です。

◎ ここがいい
  • 名店なら本当においしい。ココナッツ×エビの唯一無二のスープ
  • レンゲだけで食べる独特の作法が、旅の体験として面白い
  • 土地ごとに別物(カトンのカレー系/ペナンのアッサム系)。食べ比べが楽しい
  • カヤトーストと並ぶ“シンガポールの顔”。一度は食べたい
△ 気をつけたい
  • 店の差が大きい。空港・観光地で適当に選ぶと外す
  • 辛味&ココナッツが濃いので、苦手な人は少量から
  • ハマグリ(コックル)が苦手なら抜いてもらうのも手
編集部のおすすめ度(★5段階)
328 Katong Laksa ★★★★★ 苦手が覆った名店の一杯
Toast Box のラクサ ★★★★ 気軽で安定。入門にうってつけ
ペナンのアッサムラクサ ★★★★ 酸味系。カレー系とは別の旨さ
“適当に選んだ”ラクサ ★★★★★ 外すとこれ。選び方が命
体験(スプーン食べ) ★★★★ 作法そのものが面白い

✎ 行ってみての感想

「ラクサは苦手」と言い続けてきた身としては、ちょっと悔しいくらいの逆転負けでした。空港でなんとなく食べた一杯で決めつけていた自分を、328のラクサがあっさり論破してきたのです。

そして食べ歩いて分かったのは、「ラクサ」は一つの料理ではないということ。Toast Box の気軽な一杯、カトンの濃厚なカレー系、ペナンの酸っぱいアッサム系――同じ名前でこんなに違う。土地が変わるたびに別の顔を見せてくれます。

食わず嫌い、あるいは“一回のハズレ嫌い”は、本当にもったいない。シンガポールに来たら、ぜひ名店のカトンラクサを一度。マレーシアまで足を延ばすなら、ペナンでアッサムラクサも。あの一杯を、苦手だと思っている人にこそ試してほしいのです。

苦手の正体は、ただのハズレでした。
名店のラクサを、レンゲひと匙で♪

名店328 Katong Laksaはカトン(イーストコーストロード)方面。複数店舗あり。
名店328 Katong Laksaはカトン(イーストコーストロード)方面。複数店舗あり。

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