マレーシア
▶ マレーシア
Kota Kinabalu / Borneo
コタキナバル、
山と、島の海。
取材・写真 編集部世界遺産+アイランドリゾート
▶ コタキナバル(ボルネオ)

コタキナバル(ボルネオ島)完全ガイド ― 世界遺産の山と離島の海

「ボルネオ島」という名前は、多くの日本人が一度は耳にしたことがあるはず。大自然の南の島、という漠然としたイメージはあっても、いざ行こうとすると「具体的にどう回ればいいのか」が意外と分かりません。調べるとカリマンタン島という名前まで出てきて、よけいに混乱しがちです。
ポイントを整理すると——ボルネオ島は世界第3位の大きさの島で、北の約1/4をマレーシア、南の約3/4をインドネシア(こちらが「カリマンタン」)、北部の一角をブルネイが領有します。この記事ではマレーシア領、なかでも観光の拠点となるサバ州の州都コタキナバルを中心にご案内します。キーワードは「自然」「リゾート」「都市」。世界遺産のキナバル山、沖の島々の海、そして街歩きが、ひとつの拠点からまとめて楽しめるのが、この街の魅力です。

コタキナバル(ボルネオ)の見どころ早わかり。キナバル山・島の海・街歩き。
コタキナバル(ボルネオ)の見どころ早わかり。キナバル山・島の海・街歩き。
コタキナバル DATA
タイプ
世界遺産の山+離島の海+街歩き(5〜6日でじっくり)
場所
マレーシア領ボルネオ島北部・サバ州(南シナ海/ボルネオは世界第3位の島で3ヵ国にまたがる)
行き方
日本から直行便は不安定(KL・シンガポール等を経由=片道10時間前後/空港は市の南西 約8km)
見どころ
キナバル公園は市から約88km/離島は沖約3kmをボートで
費用の目安
ある程度楽しむなら1人7万円〜、できれば10万円前後でリゾートに
注意
コタキナバル市街は時に賑やかすぎる/サバ州東海岸は渡航情報の確認を
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まず、ボルネオ島を整理する。

観光の前に、ボルネオ島の「かたち」を押さえておくと迷いません。一つの島に3ヵ国の国境が引かれ、同じマレーシアでも入境手続きが要る——その独特の成り立ちが、旅のイメージを掴むカギになります。

同じマレーシアなのに「入国審査」サバ州

同じマレーシアなのに「入国審査」Sabah Immigration

コタキナバル国際空港に着くと、半島から来てもサバ州の入境審査(Jabatan Imigresen Sabah)を通ります。写真は「Malaysian Passport」レーンと「Premier Lane」の案内。じつはサバ州・サラワク州は歴史的に高い自治権を持ち、マレーシア人でもパスポートで入境手続きが必要。半島とは成立の経緯が異なり、英領北ボルネオ(サバ)・サラワク王国・マラヤ連邦が1963年にマレーシア連邦を結成した名残です。だから半島側とは「なんとなく空気が違う」と感じます。

街は新しく、自然が主役

街は新しく、自然が主役KK Cityscape

コタキナバルがサバ州の中心地になったのは1899年。歴史はそれほど長くなく、街なかに古い建造物は多くありません。写真のように、近代的なビルとサバ州ナンバー(SAA)の車が行き交う、ふつうの地方都市の顔。だからこそ、この街の本当の魅力は郊外の大自然と沖の海にあります。市街観光はほどほどに、リゾート滞在+自然アクティビティを組み合わせるのが、コタキナバルの上手な楽しみ方です。

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世界遺産の山、キナバル。

コタキナバル観光の主役は、なんといってもキナバル山。市街から車で2〜3時間、東南アジア最高峰の山がそびえます。麓のキナバル公園はマレーシア初の世界遺産。登っても、眺めても、麓の自然を歩いても楽しめる、懐の深いエリアです。

東南アジア最高峰、4,095m世界遺産・2000年

東南アジア最高峰、4,095mMount Kinabalu

キナバル山は標高4,095m、ヒマラヤとニューギニアの間では最高峰。麓のキナバル公園は2000年12月、マレーシア初のユネスコ世界自然遺産に登録されました(4,500種を超える動植物の宝庫)。写真は山中のクライマソン(登山マラソン)大会の記録ボードと登頂ルート図。登頂は1泊2日が標準で、高度は高いものの登山道は比較的安定しています。とはいえ東南アジア最高峰、なめてかかると痛い目を見る山です。

▶ キナバル山と観光コース
麓の自然散策とポーリン温泉

麓の自然散策とポーリン温泉Poring Hot Spring

登頂しない人がほとんどですが、それでも十分楽しめます。朝一でナバル展望台へ行けば、天気次第でキナバル山の全景を美しく望めます。あわせて公園周辺では、ポーリン温泉(写真の石碑は日本語・中国語で由来を説明。第二次大戦中に日本軍が開いた硫黄泉)、43mのキャノピーウォーク、運がよければ世界最大の花ラフレシアの鑑賞(開花はわずか3〜5日)も。山あいは天気が変わりやすいので、ツアー利用が無難です。

登るなら:許可とガイドは必須

登頂を狙うなら、サバ州公園局(Sabah Parks)の登山許可登録ガイドの同行が必須です。許可料は外国人で400リンギット(約16,000円)前後、マレーシア人は100リンギット(約4,000円)前後(年齢で半額あり)。山小屋・食事・ガイド・送迎込みのパッケージは概ね1,400リンギット〜(約56,000円〜)が目安です。料金や手配条件は変わりやすいので、最新はSabah Parksや手配会社で必ず確認を。登頂は1泊2日が標準で、人気のため枠は早く埋まります。早めの予約を心がけましょう。

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沖の島々で、海あそび。

街のすぐ沖に、手軽に渡れる海があります。トゥンク・アブドゥル・ラーマン海洋公園は、ジェッセルトンポイントから短いボート移動で行けるアイランドホッピングの定番。シュノーケルやのんびり海水浴が楽しめます。

海洋公園の5つの島沖 約3km

海洋公園の5つの島TAR Marine Park

コタキナバルの沖、わずか約3kmに浮かぶのがトゥンク・アブドゥル・ラーマン海洋公園(1974年公示)。ガヤ島・サピ島・マヌカン島・マムティック島・スルグ島の5島からなり、サピ島やマヌカン島が人気です。写真は公園の入場・ダイビング料金の案内板(Taman-Taman Sabah)で、保全料やダイビング料が島ごとに定められています(金額は時期で変動)。市のジェッセルトンポイントからボートで気軽に渡れます。

ただし、混雑には注意

海はかなり美しいのですが、正直に言うと観光客がとても多いのも事実。無計画にアイランドホッピングをすると、人の多さに少しうんざりするかもしれません。プライベートビーチでのんびりを望むならリゾートホテルのビーチで十分ですし、逆に海のアクティビティを全力で遊びたいなら島へ渡る価値があります。何を求めるかで選ぶのがコツ。落ち着いた島時間だけが目的なら、同じマレーシアでもランカウイ島のほうが向いている場合もあります。

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街と、夕日と、シーフード。

リゾートと自然が主役とはいえ、コタキナバル市街にも楽しみはあります。水上モスク、展望台、ショッピング、そして名物の夕日とシーフード。半日もあれば街の表情をひと通り味わえます。

海沿いのショッピングと夕日モール

海沿いのショッピングと夕日Suria Sabah

昔は大型モールが少なかったコタキナバルですが、近年は海沿いにスリア・サバ(写真/2009年開業)、オーシャナス(2014年)、イマゴ(2015年)など新しいモールが続々と。観光客向けの土産から日用品まで揃い、設備もきれい。特に海沿いのモールの広場から望む夕日はコタキナバルらしい絶景で、街歩きの締めにぴったり。庶民派ならセンターポイント・サバも雰囲気があります。

土産はガマット(ナマコ)製品も

土産はガマット(ナマコ)製品もSouvenir

コタキナバルらしい土産が、サバ名物のガマット(ナマコ)製品。写真は手作りのガマット石けんで、1個13リンギット(約520円)、3個36リンギット(約1,400円)といった値付け(多言語表示で日本語・韓国語・中国語も)。ナマコのクリームや石けんは肌に良いとされ、地元では定番のお土産。モールや市場で見かけたら、ばらまき用にちょうどよい一品です。

夜はローカルのシーフードへ名物

夜はローカルのシーフードへSeafood Village

海の街コタキナバルの夜の楽しみは、なんといってもシーフード。写真は赤い提灯とネオンが灯るPort View Seafood Villageの夜の入口。生簀から選んだ魚介をその場で調理してくれる大型のシーフードレストランで、地元客でにぎわいます。マレー料理に疲れたら、点心が評判の中華(皇悦/Emperor's Delight)や、本格ピザのリトル・イタリーなど、街なかの店も充実。海を見ながらの食事が、この街の夜を彩ります。

水上モスクと、シグナルヒル

市内で「マレーシアらしさ」を味わうなら、外せないのがコタキナバル・シティモスク。リカス湾の人工ラグーンに浮かんで見えることから「水上モスク」と呼ばれ、青いドームと真っ白な外壁が水面に映える姿は、街いちばんの絵になる風景です(2000年2月開堂/メディナの預言者モスクを範とした設計)。郊外にありますが、タクシーでさくっと行ける距離。非ムスリムも見学でき、ローブの着用など服装の配慮が必要です。

もうひとつのおすすめがシグナルヒル展望台。街なかの高台で、コタキナバルの市街地を一望できます。朝の散歩がてら登ると、海と街がいっぺんに見下ろせて気持ちのいいスポット。マレーシアに初めて来たなら、モスクと展望台、それに大型モールを覗くだけでも、十分この街の空気を感じられます。逆にすでにマレー半島側で街歩きを楽しんでいるなら、市内観光は軽めにして、自然と海に時間を割くのが正解です。

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川をめぐる、もう一つの自然。

キナバル山と海に加えて、コタキナバル発の人気アクティビティがマングローブのリバークルーズ。野生の生き物と夕景、そして運がよければホタル——ボルネオの濃い自然を、ボートの上から味わえます。

テングザルとホタルのリバークルーズ

市街から車で2〜3時間ほどのガラマ川・キリアス川でのマングローブクルーズが定番です。日本ではなかなか見られない野生のテングザルに出会えたり、川面に映る夕焼けが見事だったり。日が暮れると、運がよければ木々に明滅するホタルの群れも見られます。場所が分かりにくく、川の生き物や自然の説明も多いので、これもツアー利用が無難。夕方発〜夜のツアーが人気で、ボルネオの大自然をいちばん手軽に体感できる半日です。キナバル山・離島とあわせて、ぜひ旅程に組み込みたいアクティビティです。

◎ おすすめポイント
  • 世界遺産の山・離島の海・街が、ひとつの拠点からまとめて楽しめる
  • 東南アジア最高峰キナバル山(登っても眺めても)+麓の自然散策が充実
  • 約3kmの海洋公園で手軽にアイランドホッピング&シュノーケル
  • シーフードと夕日、テングザルのクルーズなど“ボルネオらしさ”が濃い
△ いまいち・注意点
  • 人気エリアは観光客が多く、市街・島が賑やかすぎると感じる時も
  • 日本からの直行便が不安定で、経由だと片道が長い(往復で半日以上)
  • 市街自体に大きな名所は少なめ(自然・海とセットでこそ楽しい)
  • キナバル登頂は許可・ガイド・予約が必要で、ハードルは低くない
💡 コタキナバル観光のコツ
編集部の評価(5段階)
自然(山・公園) ★★★★★ 世界遺産キナバルが主役・懐が深い
海・離島 ★★★★ 手軽に渡れるが混雑しやすい
グルメ ★★★★ シーフード+多国籍で満足度高め
街歩き ★★★★★ 名所は少なめ・自然とセットで
アクセス ★★★★★ 日本から直行便が不安定で長い

自然・リゾート・都市が、一度に。

コタキナバル(ボルネオ島)の魅力を一言でいえば、「自然・リゾート・都市が一か所で揃う」こと。東南アジア最高峰のキナバル山、世界遺産の国立公園、沖の島々の海、テングザルの川、そして街のシーフードと夕日——これだけ性格の違う体験が、ひとつの拠点から手が届きます。何でも詰まっているのが、この街の最大のメリットです。

裏を返せば、それだけ人気で観光客が多いということ。シーズンによっては市街も島も賑やかで、静けさを最優先する人には喧騒が気になるかもしれません。「とにかく落ち着いたリゾートでおこもり」を求めるなら、ランカウイ島のような選択肢のほうが合うこともあります。自分が旅に何を求めるかで、行き先は変わってきます。

そして時間と体力に余裕があれば、同じボルネオ島のサラワク州へ足を延ばすのも一案。猫の街クチンや、世界遺産グヌン・ムル国立公園(百万匹のコウモリが飛び立つ洞窟で有名)など、コタキナバルとはまた違う“濃いボルネオ”が待っています。まずはコタキナバルを起点に、ボルネオ島の自然を味わってみてください。

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場所と、行き方。

最後に、コタキナバルへのアクセスと基本情報を整理します。

マレー半島とは海を挟んで東。移動は飛行機で。
マレー半島とは海を挟んで東。移動は飛行機で。
飛行機で渡るボルネオ島北部

飛行機で渡るボルネオ島北部Access

コタキナバルはマレーシア領ボルネオ島の北部・サバ州、南シナ海に面する州都。マレー半島とは海を挟んで東にあり、移動は飛行機です。日本からの直行便は不安定なため、クアラルンプールやシンガポールなどを経由するのが一般的。写真はコタキナバル国際空港の出発案内(国際線/半島/サラワク/ラブアン/サバ州内)で、サバが独自の行政区分を持つことが見て取れます。空港は市の南西 約8kmで、市内へはタクシーが手軽です。

✎ 編集部メモ

自然と離島リゾートが好きな人に最適。キナバル山と海、両方を一度に楽しめるのが魅力です。コタキナバル市街は時に賑やかすぎることも。時間があればサラワク州(クチン・グヌンムル)まで足を延ばすと、ボルネオの濃さを一層味わえます。

世界遺産の山も、離島の海も、街の夕日も。
ボルネオの自然をまとめて味わえる、それがコタキナバルです。

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コタキナバルの基本