シンガポール|正直レビュー
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Honest Review
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取材・写真 編集部シンガポール

シンガポールを“あえて”おすすめしない理由 ― 好きだからこそ正直に

おすすめしない人
都市観光に興味がない/世界遺産など文化系志向/食重視の人
文化系が弱い
発展して約200年と若い。世界遺産はマラッカ・ペナンへ
食事
現地料理は日本人の33%しか好まない(中華・台湾系は◎)
でも
子連れで最大限楽しめる貴重な海外。近年は大きく様変わり
“あえておすすめしない”の要点。
“あえておすすめしない”の要点。

編集部はシンガポールがかなり好きです。子どもが生まれてからも、最低年1回は訪れてしまうほど。だからこそ——すべての人におすすめできるわけではない、というのも正直なところです。観光地には向き不向きがあります。好きでたくさん通っているからこそ気づく「こういう人には向かないかも」というポイントを、率直にまとめました。

1
Highlights

まず、定番はこんな顔ぶれ。

おすすめしない理由の前に、シンガポール観光の人気どころを押さえておきましょう。多くの人がこの3エリア+空港を軸に旅程を組みます。

左:マリーナベイ(マリーナベイ・サンズ/ガーデンズ)。中:セントーサ島(USS・水族館・ウォーターパーク)。右:マンダイの動物園群(ズー・ナイトサファリ・リバーワンダーズ・バードパラダイス)。

全部きちんと回ると、6日かかる盛りだくさん

全部きちんと回ると、6日かかるジュエル・チャンギ

さらに空港直結のジュエル・チャンギまで含めると、見どころは本当に豊富。マリーナベイ2日・セントーサ2日・動物園群2日と、定番を丁寧に回るだけで6日。これだけ日程を取れる人は限られるので、たいていはどこかを省くか、超特急になります。

2
Cons

では、おすすめしないポイント。

魅力の裏返しでもある、6つの観点を正直に。

① 世界遺産など、文化系が弱い若い都市

① 世界遺産など、文化系が弱い発展して約200年

人気施設を見ると、植物園・観覧車・遊園地・水族館・動物園と都市観光らしい名所が並び、歴史・文化系がほとんど挙がりません。それもそのはず、シンガポールは1819年時点で人口150人の小さな港町。発展し始めて約200年と若く、文化遺産は限られます。寺院(仏牙寺・スリマリアマン等)やアラブストリートはありますが、いずれも“寺院巡り”の趣。世界遺産を見たいならマレーシアのマラッカやペナンへ——東京に来て世界遺産と言われ、京都を案内するようなものです(シンガポール〜マラッカは240kmと、無理すれば日帰りツアーも)。

仏牙寺龍華院(チャイナタウン)。文化系スポットがないわけではありませんが、その多くは寺院です。
仏牙寺龍華院(チャイナタウン)。文化系スポットがないわけではありませんが、その多くは寺院です。
ラクサ。シンガポール料理はマレー料理とほぼ同じ系統(関西と関東のうどん程度の差)。好みは分かれます。
ラクサ。シンガポール料理はマレー料理とほぼ同じ系統(関西と関東のうどん程度の差)。好みは分かれます。
② 食事は、好き嫌いが分かれる個人差大

② 食事は、好き嫌いが分かれる日本人の好みは33%

YouGovの国別調査で、日本人が好きな料理トップは中華(88%)・イタリアン(85%)・フレンチ(68%)…。一方シンガポール料理は15位で、好きな日本人は33%。ただし統計上、日本人はそもそも自国以外の料理に厳しめ。海南チキンライス・肉骨茶(バクテー)・カヤトースト・クレイポット飯・ロティチャナイあたりは編集部も好物で、食べ歩くうちにハマる料理もきっとあるはず。とはいえ“たくさん気に入る”人は多くないかも、というのが正直な線です。

シンガポールの金融街。下町は中国語表記も多いものの、観光地の多くは英語表記で“無国籍風”。
シンガポールの金融街。下町は中国語表記も多いものの、観光地の多くは英語表記で“無国籍風”。
③ 街並みは無国籍的。アジア人が多い欧米、のような雰囲気。クアラルンプールはマレー様式が効いて個性的なので、対照的です。
③ 街並みは無国籍的。アジア人が多い欧米、のような雰囲気。クアラルンプールはマレー様式が効いて個性的なので、対照的です。
④物価はそこそこ、⑤治安に例外エリアも要注意

④物価はそこそこ、⑤治安に例外エリアもリトルインディア

④物価:東南アジアの感覚では高めで、ざっくり日本と同程度。ただしタクシーは日本の約1/3(チャンギ→マリーナベイで2,000〜3,000円相当)と安く、酒・たばこは税で割高、という濃淡があります。⑤治安:全体は非常に良く、日本より良いという統計もあるほど。ただしゲイラン(夜の街)は近づかないリトルインディアは軽犯罪に注意(編集部が現地で唯一釣り銭をごまかされたのもここ。油断は禁物)。

⑥ 逆に:子連れには、最高の海外むしろ推し

⑥ 逆に:子連れには、最高の海外ポジティブな“おすすめしない”

ここまで難点を挙げましたが、最後に裏返しの本音を。シンガポールは子連れが最大限に楽しめる、貴重な海外です。施設も治安も、どこへ行っても子どもが喜び、しかも大人も子どもも一緒に楽しめる施設ばかり。実際に子連れで訪れても、ほかの海外に比べてぐずりにくい。編集部としては子連れで行きたい海外都市の第一位だと思っています。

3
Consideration

“つまらない”は、たぶん10年前の話。

「マーライオンは世界三大がっかり」「シンガポールはつまらない」——そう言われがちな理由も、考えてみました。

2010年のMBS開業で、街が様変わりした様変わり

2010年のMBS開業で、街が様変わりした主要施設の多くは2010年以降

今“主要観光地”と呼ばれる場所の開業年を並べると、マリーナベイ・サンズ2010、ガーデンズ2012、アートサイエンス2010、USS2011、シー水族館2012、ジュエル2019……と、大半が2010年以降。つまり10年以上前は、これらがまだ無かった。マーライオンしかなければ、確かに物足りなく感じた人もいたはずです。「つまらない」と言う人の多くは、様変わり前に訪れた人ではないでしょうか。2012年以降に訪れた人なら、見どころの多さを楽しめているはずです。

4
Verdict

結局、あなたは“向く人”?

ここまでの6つの観点を、旅のスタイル別に整理しました。当てはまる項目が多いほうで、向き不向きが見えてきます。

◎ シンガポールが向く人
  • 都市観光が好き──植物園・観覧車・遊園地・水族館・動物園を一気に楽しみたい(①の裏返し)
  • 子連れ旅行──治安も施設も子ども向けで、大人も一緒に楽しめる(⑥)。編集部が子連れ第一位に推す理由
  • 近場でしっかり“海外”を味わいたい──英語表記で動きやすく、無国籍な都会の雰囲気が心地よい(③の裏返し)
  • 中華・台湾系の料理が好き──チキンライスや肉骨茶など、口に合う一皿が見つかりやすい(②の裏返し)
  • 移動の楽さを重視──タクシーが日本の約1/3で、コンパクトに回れる(④の濃淡)
△ ほかの行き先も検討したい人
  • 世界遺産・歴史建築が旅の目的──文化系が弱い(①)。それならマラッカ・ペナンを主役に
  • その土地ならではの料理を食べ歩きたい──好みが分かれやすく(②)、“たくさんハマる”人は多くない
  • 個性的な街並み・異国情緒を求める──無国籍風(③)。マレー様式の効いたクアラルンプールのほうが刺さることも
  • とにかく安く旅したい──物価は概ね日本並み(④)。東南アジアの“安さ”を期待すると割高に感じる
  • 夜遊び中心で動く──ゲイランは近づかない、リトルインディアは軽犯罪に注意(⑤)。エリア選びは慎重に

もっとも、上の「向かない人」もマレーシアと組み合わせれば一気に解決します。世界遺産はマラッカ・ペナン、個性的な街並みはクアラルンプール——シンガポールを起点に足を延ばせば、弱点はほぼ埋まります。半島ぜんぶで旅程を考えれば、“あえて”の弱点も長所に変わります。

さいごに:それでも、好きな街

いろいろ書きましたが、編集部はシンガポールが大好きです。人によって向き不向きが出るからこそ、不向きになりそうな点を正直に挙げました。結論としては、今のシンガポールは自信をもっておすすめできる観光地。ぜひ一度訪れて、楽しんでみてください。エリア別の見どころは シンガポール観光ガイド もどうぞ。