カヤトースト。
ヤ・クン カヤトースト(Ya Kun)― 1944年から続く朝食の王様
- 料理
- カヤトースト+半熟卵+コピ(南洋コーヒー)の朝食
- 価格帯
- トースト単品$2.4/温泉卵+コーヒーのセット$4.8($=SGD・2019取材時)
- 創業
- 1944年(屋台のコーヒーストールから)
- 店舗
- 市内各所+チャンギ空港など(14か国に展開)
- タイプ
- カヤトーストの老舗チェーン(朝食の王道)
- ベスト
- 人気店は朝混む。中心部を少し外すと空く

カヤトーストの王様といえば、ヤ・クン(亞坤)。甘いカヤジャムとたっぷりのバターを挟んだトーストに、半熟卵とコピ(南洋コーヒー)を合わせるのがシンガポール流の朝ごはんです。1944年創業の老舗で、市内のどこに行っても大盛況です。
1944年、屋台から。
ヤ・クンの歴史は、海南島から渡ってきた一人の少年から始まります。その名前が、そのまま店の名になりました。
“亞坤(ヤ・クン)”という名の由来
創業者の黎亞坤(Loi Ah Koon)さんは、1926年に海南島からシンガポールへ。わずか15歳で渡り、珈琲屋台の手伝いから働き始めました。やがてテロックアヤ・ベイスンで仲間と自分の珈琲屋台を構え、のちに単独で経営します。
1944年、屋台は「Ya Kun Coffeestall」として登録されました。Ya Kun=亞坤、つまり創業者の名前そのもの。やがて奥さんの発案でパンを半分に切り、自家製のカヤを挟むスタイルが生まれ、これが看板のカヤトーストになりました。
長らく家族経営の小さな店でしたが、1999年に末の息子が事業を継いでから急拡大。いまや50店舗超・14か国に広がるシンガポールの食の象徴です。かつて東京・豊洲にも上陸しましたが数年で撤退――この甘さは、日本人には少し背徳的すぎたのかもしれません。
王様赤い看板の、にぎわいThe Storefront
写真はチャンギ空港店。どこの店も朝から大盛況で、出勤前のローカルから観光客まで入り混じります。インドネシア・カンボジア・中国にも進出するアジアの定番チェーンで、隣国マレーシアには意地でも出さないとも言われるのが面白いところ。空港店は、帰国前の“最後の一杯”にもうってつけです。

お土産は、カヤ瓶とギフト箱Souvenir
店頭にはカヤジャムの瓶やギフトボックスが並びます。あの甘さを家でも再現したいなら、お土産にカヤを一瓶。コーヒー(コピ)のパックと合わせれば、シンガポールの朝食セットがそのまま持ち帰れます。日持ちもして軽いので、ばらまき土産にもちょうどいい一品です。
どこにでも、ある。
ヤ・クンの心強さは、その遍在ぶり。歩いていれば有名どころには必ずと言っていいほど店があり、観光の合間にもさっと立ち寄れます。
安心フードコートにも、空港にもEverywhere
モールのフードコートから街なか、チャンギ空港まで、ヤ・クンは本当にあちこちにあります。朝食はもちろん、休憩の一杯にも。先に注文・会計して席で待つスタイルが基本で、明るく入りやすい雰囲気。ローカルの“いつもの朝”に、観光客もすっと混ざれるのが嬉しいところです。

赤いカウンターが、目印The Counter
赤を基調にした「Ya Kun Kaya Toast」の看板とカウンターが目印。メニューはトースト+飲み物+卵のシンプル構成なので、ローカルフードに不慣れでも迷いません。人気店ゆえ朝はカウンターに列ができますが、回転は速め。サクッと頼んで、ローカルの朝食を体験してみましょう。
- 人気店は朝から大賑わい。中心部を少し外したエリアの店が空いている。
- セントーサ店は朝から満員になりがち(編集部も断念したことが…)。
- 帰国前ならチャンギ空港店で“最後のカヤトースト”もおすすめ。
背徳の、甘さ。
あっさり朝食…と思いきや、強烈に甘い。これがヤ・クンの真骨頂です。甘いカヤ、甘いコピ、そこに半熟卵のしょっぱさが効いてくる――クセになる組み合わせです。
名物カリッと薄い、カヤトーストKaya Toast
カリッと薄く焼いたトーストに、甘いカヤジャムと厚切りバターがこれでもかと挟まれた一品。トースト単品$2.4、温泉卵+コーヒーのセットで$4.8と、内容的には名古屋のモーニングに近い感覚です。甘いの好きにはたまらない、日本ではなかなか出会えない背徳の甘さ。朝からしっかり糖分が頭にめり込みます。


左:温泉卵+コピ+トーストのセット俯瞰。右:ヤ・クンのロゴ入りカップに注がれたコピ。

半熟卵には、醤油を一垂らしSoft-boiled Egg
セットの半熟(温泉)卵は、添えの醤油を少し垂らしていただくのがおすすめ。甘いトーストとコピで口じゅうを甘ったるくして、そこに卵のしょっぱさが効いてくると、もう止まりません。トーストを卵に浸して食べるローカル流も、ぜひ試してみてください。
🧾 編集部が頼んだもの(2019取材時・$=SGD)
価格は変動します。最新は店頭表示を確認ください。
- 何も言わないと練乳+砂糖で激甘が当たり前。甘×甘になる。
- Kopi=練乳+砂糖/Kopi-C=無糖練乳+砂糖/Kopi-O=砂糖のみ。
- 無糖が欲しいなら Kopi-O kosong(コソン)。セットでも差額で変えてくれることが多い。
朝いちで、“ローカルの朝”を。
安くて、どこにでもあって、歴史がある。シンガポールの朝を体験するなら、まず外せない一軒です。トーストボックスと食べ比べるのも一興。
- 1944年の老舗。シンガポールの朝食文化そのもの
- 市内各所+空港にありいつでも立ち寄れる
- カヤ瓶やコピはお土産にもぴったり
- とにかく甘い。甘いものが苦手だと厳しいかも
- 人気店は朝から大行列(セントーサ店など)
- コピは黙ると激甘。無糖は自分でオーダーを
✎ 行ってみての感想
正直に言うと、最初のひと口は「甘っ!」となります。でも、甘いコピで口じゅうを甘ったるくして、半熟卵のしょっぱさで一回リセットして、また甘いトースト――この往復が、いつのまにかクセになる。日本ではなかなか食べられない味です。
なにより、朝いちでローカルの朝食に混ざる体験そのものが旅らしくて好きです。安くて、どこにでもあって、歴史がある。シンガポールの朝は、ヤ・クンの一皿から始めるのがおすすめです。
クセになる、背徳の甘さ。
朝いちで“ローカルの朝”を♪

